田園、また楽しからずや

「帰りなん、いざ。田園、将に蕪(あ)れなんとす・・・」(帰去来の辞)と詠い、高級官吏の職をさっさと捨て、田舎へ引っ込んだ東晋時代の大詩人、陶淵明。高校生時代に漢文で「菊を采(と)る東籬の下(もと)、悠然として南山を見る・・・」(飮酒 其五)と習ったあのお酒好きの先生です。役人社会の堅苦しさに嫌気をさして遁世はしてみたものの、結構生活は苦しかったようです。
その点、定年退職後に田舎暮らしを始めた現代の陶淵明たちは優雅な暮らしを楽しんでいるようです。年金は入るし、機械化で農作業も楽にでき、無農薬・有機栽培野菜でますます健康に。平均寿命が延びるのも道理です。折角ですから、減反政策で疲弊した日本の農業復活と緑の再生(地球温暖化の防衛)にも頑張っていただきましょう。

今年(2005)のゴールデンウィークは久しぶりの9日間連続休暇。この間に残雪の越後長岡を経由して古里の両親を訪ねました。里山は新緑で埋まり、田植えが終わったばかりの田圃には早苗が揺れていました。初夏には、野山は濃い緑に変わり、かつて来日した外国人たちが驚いた日本の風景美が出現します。現代の陶淵明先生には燃料革命で失われつつある美しい風景も守って欲しいものです。(ヨーロッパの田園はココをクリック

蓮華草(レンゲソウ) 

化学肥料が豊富でなかった時代「緑肥」として、田植え前の田圃に植えられ、稲の栄養補給に役立っていました。
現在は蜂蜜の材料として利用されることが多いようです。

子供の頃は、花を摘んで花輪にして遊びました。
一番最後は・・・明日香村の石舞台前の田圃で摘んだ「花の首飾り」でした。もう、35年も前になります。蓮華草の香りのような甘酸っぱい思い出です。

(石川県 宝達志水町)
 
田圃のあぜ道には・・・
坪菫(ツボスミレ)  烏の豌豆(カラスノエンドウ)
金鳳花(キンポウゲ)

別名、馬の脚形(ウマノアシガタ)とも呼ばれていますが、どこが馬の脚なんでしょうか。学名はRanunculus japonicus。日本特産なのですね。

信濃金梅(シナノキンバイ)など高山植物に似た花がたくさんあります。
地縛り(ジシバリ)

茎は細いですが、根は強靱で、
地面にびっしりと生えます。
大地にしっかりと根を下ろし、
ビクとも動かないといった風情。
農民の粘り強さを表しているよう。
それとも農耕神の呪文でしょうか。

 
小川では音符があっち向いたり、こっち向いたり・・・ナマズの子供ではありません。もちろん、「お玉杓子」でもありません。
 現代の田植え

昔(といっても20年ほど前)は、家族、親戚、ご近所、皆総出で田植えをしたものですが、今はもうこの通り、一人でも楽々と。(ちなみこの方は80歳を超えています)しかし、その分、農協への借金が増えています。
少し里山の方へ行ってみましょう・・・早速

(スミレ)のお出迎え
山路来て なにやらゆかし 菫草  


立浪草(タツナミソウ)
ド、ド〜〜ンと波が押し寄せるよう。
籬通(カキドオシ) 
繁茂力が強く、蔓が垣根の下を通り抜けるところからついた名。
通草(アケビ)
実は食用、皮は漢方、蔓は工芸品といろいろと有用。同じ仲間に郁子(ムベ)があります。

春の野山には山菜など食べられる草にも沢山生えます。ワラビ、ゼンマイ、タラの芽・・・
(ゼンマイ) 芽が発条(バネ)状から 野芹(ノゼリ) おヒタシが美味しい

里山から降りてくるとき、誰かが手を振ってくれているよう・・・振り返ってみると・・・・
木楢(コナラ) が風に揺れて・・・ 秋になると団栗(ドングリ)ができます。
                  
(ここまでの写真は全て石川県宝達志水町で撮影)

英国人の夢の一つに「老後は田園に住んで庭造りをする」があります。ロンドンから西へ車で1時間ほど行ったところにあるコッツウォルズ地方にはそうした典型的な英国庭園が多くあります。小さいながらバラやハーブを植えているB&Bやペンションも多く、観光客を引きつけています。
東京の花々でバーチャルな「英国庭園」を造ってみました。

薔薇(バラ)

英国庭園の女王はなんと言ってもバラ。
バラは英国(イングランド)の国花ですから。

(港区区六本木)
浜茄子(ハマナス)
ハマナスもバラの仲間。自生する知床半島が世界遺産(自然)に登録されました。
(港区六本木アークヒルズ)
サントリーの研究所が遺伝子操作で青いバラを開発しました。純粋な青でなく、紫に近い色です。これはサントリーホールの前で見つけました。

バラばかりでなく色々な草花が植えられています。7つの海を制覇した英国人は世界各地から様々な種類の花を集めました。
デルフィニューム

原産地はヒマラヤ。名前はドルフィン(イルカ)から来ていますが、花の形をイルカがジャンプするに見立てたものでしょうか。海洋大国イギリスの面目躍如です。ちなみに和名は飛燕草(ヒエンソウ)。葉の形が燕の尻尾に似ているところから。やはり日本は農業国?

(港区六本木アークヒルズ)
釣鐘草(ツリガネソウ)

バラがイングランドの国花なら、
釣鐘草はスコットランドの国花。
では、ウェールズとアイルランドの国花は?
(答えは一番下にあります)
童謡で「スコットランドの釣鐘草」があります。

形が鐘に似ているところから。
英語でもブルーベルです。
別名:カンパニュラ

(世田谷区経堂)
ルピナス 
別名:昇り藤。豆科の植物です。
 (世田谷区砧) 
ジギタリス 
薬用にもなりますが毒もあります。花弁の斑入りがちょっと・・(港区六本木)
アザレア
日本では石楠花(シャクナゲ)と呼ばれています。ツツジの仲間。
英国人が中国から持ち帰って、色々な品種を作りました。英国庭園に欠かせない花木です。
(文京区後楽 小石川後楽園側)
カルミア

こちらは北アメリカ原産のツツジの仲間。アメリカ石楠花の別名をもっています。星が集まった球場星雲のような形です。
(渋谷区広尾)

庭園には花ばかりではありません。ハーブを植え、鑑賞と食用を兼ねています。さすが、質実剛健の英国人ですね。
ラベンダー (イングリッシュ・ラベンダー)
いい薫りがします。香水の材料になります。北海道富良野のラベンダー畑が有名です。(世田谷区経堂)

ウサギの耳のようなフレンチ・ラベンダー
愛嬌者です。
   (世田谷区砧)
ペパー・ミント
アイスクリームの上に葉を載せて出します。
別名:西洋薄荷(ハッカ)

アップルミント、キャンディミントなど種類も豊富。

下はオレンジミント  (いずれも港区六本木)
茴香(ウイキョウ)
種を肉や魚の煮込み料理のスパイスとして使います。フェンネルシードといった方が分かりやすいかも。  
(港区六本木) 
ブルーサルビア
肉料理やソーセージに使うセージの仲間です。
メドセージ、チェリーセージなどセージの仲間はたくさんあります。 (港区六本木)
 
バシル

イタリア料理にスパゲティバジリコがありますが、本物はこの葉を使っています。(本格的なイタリアンレストランで以外では青紫蘇の葉で代用したもの出てきます)オフィスのベランダに観葉植物代りに植えています。
ご希望の方にお分けします。ご一報下さい。

私のランチは
もぎたてのバジルの葉を使った
スパゲティバジリコです。


いくら美味しくても西洋料理ばかりだとお腹に持たれる・・・・という方に。日本らしい花をどうぞ。

文目(アヤメ)
 
「いずれアヤメか、杜若(カキツバタ)」
お互いに遜色のないものを比較するときの慣用句ですが、アヤメは乾いた土地に生え、カキツバタは湿地に生えます。
端午の節句でお風呂に入れる菖蒲は、葉は似ていますが里芋の仲間で、全く違う種類です。(ただし花菖蒲はアヤメの仲間・・・あ〜あ、ややこしい)

(世田谷区砧)
芍薬(シャクヤク)

「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」
古来から美人の形容詞ですが、
やはり和服姿を想像しますね。
シャクヤクは草で、ボタンは木です。
    下は百合。      牡丹はこちら。  
(どちらも世田谷区砧)
雪の下(ユキノシタ)

子供の頃、霜焼けになったり火傷をしたりすると、この葉を火にあぶって揉み、患部に付けて治しました。中耳炎や尿道結石にも効くそうです。(真偽のほどは不明です)

花の形が「大」の字に見えます。大文字草はこの仲間です。

(静岡県伊豆長岡町 奈古)
合歓の木(ネムノキ) 

夜のネムノキ。葉が閉じています。
「眠りの木」が訛ってネムノキに。
六本木交差点に近い繁華街に生えています。
不夜城の街には似つかわしくないですね。
昼のネムノキ
 (港区六本木)
   

いよいよ梅雨が明け、本格的な夏がやってきました。
昨年は猛暑の夏でしたが、今年はどうでしょうか。 高原の涼しさをお届けします。 

山蛍袋(ヤマホタルブクロ)  (山梨県須玉市増富温泉)


いい夏をお過ごし下さい。

クイズの答え

ラグビーの5カ国対抗戦を見ると、ユニフォームに花が描かれています。

ウェールズの国花
アイルランドの国花
(アザミ)
           (世田谷区船橋)
シャムロック 白詰草(シロツメクサ)、クローバーの仲間です。(世田谷区桜上水)


「なに花な?」コーナー
いつもながら名前が分からない花がたくさんあります。

「何かな、なに花な?・・・」のページにも不明な花の写真を載せましたので、もし、ご存じならば教えてください。
ココをクリック、または http://www.insite-r.co.jp/Flower/unkown/


四季の花々のページへ

インサイトリサーチホームページへ