亜熱帯の花々−台湾・香港

今年(2008年)10月に終戦を台湾桃園県で迎えた86歳になる父の回想旅行のお供で台湾へ行ってきました。父は昭和18年に金沢の第9師団(歩兵第7連隊)に徴兵され、満州牡丹江に派遣された後、昭和19年に沖縄へ転出、翌20年1月に台湾へ転出しました。もし、そのまま沖縄に残留していたら今の私は存在しませんでした。
台湾では桃園県の海岸線(現在、空の玄関口である桃園国際空港の近く)で塹壕堀りをしていたようです。また、作業で体調を崩し、3ヶ月間ほど大渓(桃園県東部)の陸軍病院に入院しました。今回の旅行は父にとって初めての海外旅行(戦前台湾は日本領であった)でした。
軍隊では情報が統制されるため
、駐留していた場所の住所も知らされず、また日本と同様、台湾でも戦後の急激な経済発展で戦時中の遺構がほとんど残っておらず、探訪の成果は余りありませんでしたが、それでも「ここだった」と思える場所をいくつか尋ねることができました。

その途中や台北植物園で見た亜熱帯の花々をお届けします。また、5年前の冬に訪れた香港の花々も友情出演しています。

大蒜蔓
(ニンニクカズラ
)
中国名: 蒜香藤

日本で夏に咲くオレンジ色の凌霄花(ノウゼンカズラ)の仲間です。葉をすり潰すとニンニクの匂いがします。いかにも中華料理の本場ですね。

(桃園県 大渓)


この花の背景は取り壊し直前の廃屋ですが、日本風の家屋です。父が入院していた大渓の陸軍病院医師の官舎跡か陸軍が接収した小学校の教員宿舎跡です。建物は昭和初期の様式を色濃く残しています。右の家は世田谷区成城にある古屋です。左側の張出し窓がよく似ています。
(大渓の廃屋) (成城の古屋)

徳利木綿(トックリキワタ) (台北市林森北路)

台北市の街路樹として植えてあります。もともとは南米が原産ですので、近年台湾へ移植されたものと思います。種から綿状の繊維(パンヤ)が取れるのでこの名(木綿)がついたようです。また「徳利」は、別名が。スペイン語の「パロ・ボラーチョ」を直訳した「酔いどれの木」から酔っぱらいの腹のように樹の幹が膨らんで(徳利のようにも)見えることから由来しているようです。   
     

街路樹の花 (桃園県: 高速3号線のパーキングエリアで
台湾では高速道路網や新幹線も発達しています。道路沿いに咲いていた樹木の花です。葉は緑ですが、若葉は赤く、黄色い小さい花を付けていました。
               
紅花臭木(ベニバナクサギ)

表示板には梓(アズサ)となっていましたが、
臭木の仲間のようです。ちなみに、
日本には和名が梓という植物はなく、
梓弓の材料は夜糞峰榛(ヨグソミネバリ)という
無粋な名の木です。

(台北植物園)
 源平木(ゲンペイボク) (香港中環)      同じ臭木でも、紅白になると源平合戦に見立てられます。
                   
黄花夾竹桃(キバナキョウチクトウ)

日本の夾竹桃の花は赤(朱)か白ですが、亜熱帯の夾竹桃は涼やかです。
花の形が似たアラマンダも黄色です。
  (台北植物園)

  
  アラマンダ(香港中環)

他にも黄色い花が・・・・名称不明です。 (いずれも台北植物園)
 鬱金珊瑚(ウコンサンゴ)
別名: パキスタキス 

この花を見ると岩跳ペンギンを思い浮かべてしまいます。

(香港中環)
毒藤(ドクフジ)
 別名: デリス
 中国名: 魚藤

この草の根には殺虫有効成分であるロテノンが多く含まれており、化学製品の殺虫剤ができる前は、農業用の殺虫剤として、また毒を使った漁法に使用されていました。
中国名の魚藤はこの毒性を利用して魚を取っていたところからきました。


(台北植物園)

台湾ではマメ科で蔓状の植物は「藤」と呼ぶことが多いようです。和名のカズラ(蔓・葛)も藤となります。

朝日葛(アサヒカズラ)
別名: 新渡戸葛(ニトベカズラ)
中国名: 珊瑚藤(サンゴフジ)

メキシコ原産のタデ科の植物です。日本には1917年に渡来。
その後日本統治下の台湾に渡ったものです。
春に咲く鯛釣草に似ています。

(台北植物園)
鯛釣草
(クズ)
 中国名: 攀縁茎

日本の葛よりも花の色が濃く、背丈も5mくらいに育っていました。

(台北植物園)

    台湾野牡丹藤
(タイワンノボタンフジ)

和名がありませんので、台湾独自種でしょうか。野牡丹というより洋種山牛蒡に近い形です。
野牡丹も、日本の花は紫色ですが、台湾ではきれいなピンクです。
      野牡丹
いずれも (台北植物園)

洋紫荊(ヨウシケイ)
 別名: オーキッドトリー(バウシニア)
 中国名: 紅花羊蹄甲

香港で良く見る街路樹です。それもそのはず、香港の国花(国ではないので地域花)となっています。マメ科ですので、大きな木を見ると「ジャックと豆の木」を思い起こします。
           (香港中環)

中国名で「羊蹄甲」と呼ぶのは、この葉の形を見れば一目瞭然。羊の蹄の形です。
     (台北植物園)

植物には、マメ科のエンドウ等の「草」と洋紫荊のように「木」になるものの2形態がありますが、茜科のこの草木も同様です。
(茜科の木) (茜科の草)
山丹花(サンタンカ) 
別名:イクソラ 中国名: 仙丹花
草山丹花(クササンタンカ)
別名: ペンタス  中国名:繁星花
同じ茜科ですが、花びらの形は4弁と5弁、葉の形も違うので見分けることができます。中国名の方が趣がありますね。
山丹花には、この他、黄花や白花があります。

黄花 白花   (台北植物園)

亜熱帯というと、「雨が多い」「スコール」「湿っぽい」など水に関わるイメージがあります。
日本では晩秋ですが、亜熱帯の水辺では、植物は元気いっぱいです。
睡蓮(スイレン)   (台北植物園)

                 (ハス)
      (台北植物園)
     緋扇綾目(ヒオウギアヤメ)
気根
   
熱帯・亜熱帯の木の特徴に気根があります。
まるで雨が降るようです。
   (台北植物園)

慈姑
(クワイ) 
根はおせち料理に使われます。芽が出る(めでたい)ことから、縁起物。お味は余り人気がありませんが・・・

バナナ・リリー

根がバナナの房状になることからこの名が付きましたが、ピンときません。繁殖力が強く、日本への持込は禁止されています。
 
花ばかりでなく鳥や魚も元気です。
五位鷺(ゴイサギ)
    魚影も濃く、鳥にも楽園です。
     
メダカ       
  そしてこんなものまで
   公衆電話でした
 
5年前に撮影した花で名が分からなかった花(「なに花かな?その21」ttp://www.insite-r.co.jp/Flower/unkown/index.html)の名が分かったのも今回の旅行の成果です。


曇華
(ダンドク) 
中国名: 美人蕉

カンナの仲間ですが、熱帯アメリカ原産で江戸時代に渡来し、帰化しました。
台北植物園の表示は「美人蕉」となっていましたが、葉の形が芭蕉に似ているところはあるもののバナナの仲間ではないとおもいます。

(台北植物園)

「美人蕉」はむしろヘリコニアが適正かと思います。
ヘリコニア
(台北植物園)

日本ではあまり見ることができない珍しい花も
太穂長穂草(フトボナガボソウ)
中国名: 長穂木

穂の途中に紫色の花をつけます。日本では、沖縄や鹿児島で見られます。帰化植物。しかし・・・安直な名付け方ですね。

 花を拡大すると・・

                   (台北植物園)
大葉梵天花(オオバボンテンカ)
中国名: 野木綿

中国名は「綿」が付いていますが、葵の仲間なので、実から綿毛が取れる訳ではありません。花の形が綿花に似ているところから付いた名前でしょうか。

(台北植物園)
  
日本はもう師走。クリスマスが近づくと花屋さんの店先並ぶのがポインセチア。
南の国でも同じ装いの花がホリディシーズンを待ち受けています。

緋衣崑崙花(ヒゴロモコンロンカ)
中国名: 紅玉葉金花

葉が白い崑崙花は中国が原産ですが、この赤い葉の崑崙花は中央アフリカが原産です。
中国名も正月向けにおめでたい名前です。  これから寒くなりますが、花から温かさをもらってください。

これでもまだ温まらないようなら・・・もっと南、熱帯の花々をどうぞ。
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♪もういくつ寝るとお正月・・・
少し早いですが、来年は良き年となるようおまけです。

和名、中国名ともに
 福木(フクギ)


葉が大判型


「なに花な?」コーナー
今回もいくつか名前が分からない花がありました。ご存知でしたら教えてください。
例えば・・・

@ A
しょうがの仲間のようです バーベナに似ています
いずれも台湾植物園で
B C
天狗の団扇? アゲラータムではありません
いずれも香港石墺で
画像をクリックすると拡大します。

「何かな、なに花な?・・・」のページにも不明な花の写真を載せてありますので、もし、ご存じならば教えてください。
ココをクリック、または http://www.insite-r.co.jp/Flower/unkown/

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